
産後にもらえるお金まとめ|東京都版
出産や育児にはお金がかかりますが、日本には受け取れるお金・戻ってくるお金がいくつもあります。ただ、その多くは自分で申請しないともらえません。産後は手続きをする余裕がいちばん無い時期なので、妊娠中に全体像をつかんでおくことが何よりの節約になります。この記事では、産前産後にもらえるお金を、もらう順番に沿って整理しました。
・出産でもらえる代表格は出産育児一時金50万円(多くは病院へ直接支払われ、差額だけ精算)
・働いている人は出産手当金+育児休業給付金。2025年4月からは上乗せ給付もできました
・全員が対象なのが妊婦のための支援給付(計10万円)と児童手当
・東京都は018サポート(月5,000円)と赤ちゃんファーストが上乗せされます
・「出産費用の無償化」は法律が成立しただけで、2026年9月時点ではまだ始まっていません
① 妊娠がわかったら:妊婦のための支援給付(計10万円)
以前「出産・子育て応援交付金」と呼ばれていたものが、2025年4月から「妊婦のための支援給付」として正式な制度になりました。住民票のある市区町村に申請します。
- 1回目:5万円……病院で赤ちゃんの心拍が確認できたあと、申請します。
- 2回目:赤ちゃんの人数 × 5万円……妊娠しているこどもの人数を届け出たあと(出産予定日の8週間前から申請可)。双子なら10万円です。
合計で10万円(双子なら15万円)。自治体によっては現金ではなくクーポンで受け取る形もあります。面談や相談とセットで案内されることが多いので、母子手帳をもらうときに窓口で確認してください。流産・死産の場合も対象です。
② 出産したら:出産育児一時金 50万円
健康保険から、赤ちゃん1人につき50万円が支給されます(産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週以降に出産した場合。それ以外は48.8万円)。会社員でも自営業(国民健康保険)でも、扶養に入っている人でも対象です。
多くの病院では直接支払制度が使えます。これは病院が代わりに請求してくれるしくみで、窓口で払うのは「出産費用 − 50万円」の差額だけ。出産費用が50万円より安かった場合は、あとから差額を受け取れます(協会けんぽの場合、出産後おおむね3か月後に申請書が届きます)。
2026年6月に法律が成立し、将来は出産費用が保険のしくみでまかなわれ、妊婦の自己負担が生じない形に変わることが決まりました。ただし始まる日はまだ決まっておらず(2028年6月までに開始予定)、金額も未定です。2026年9月時点で使えるのは、これまでどおりの出産育児一時金50万円です。出産の時期によって扱いが変わるため、最新の情報はご加入の健康保険と出産予定の病院で確認してください。
③ 働いている人:産休・育休中のお金
出産手当金(産休中の給与のかわり)
勤務先の健康保険に本人が加入している人が対象です(扶養に入っている人、国民健康保険の人は対象外)。
- 期間……出産日(予定日より遅れた場合は予定日)以前42日(双子以上は98日)から、出産日の翌日以後56日までのうち、実際に休んだ日。
- 金額……1日あたり「直近1年の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2」。おおよそお給料の約3分の2と考えてください。
- 手続き……勤務先を通して健康保険へ。産後56日を過ぎてからまとめて申請するのが一般的です。
育児休業給付金(育休中のお金)
雇用保険から支給されます。育休を取る人が対象なので、パートナーが育休を取る場合も同じように受け取れます。
- 育休開始から180日目まで:休む前のお給料の67%
- 181日目以降:50%
- 育休中は社会保険料が免除され、給付金には税金がかからないため、手取りで比べると数字の印象より目減りしません。
出生後休業支援給付金(2025年4月からの上乗せ)
赤ちゃんが生まれて間もない時期に、ふたりとも育休を取った場合の上乗せ給付です。最大28日分、13%が上乗せされ、育休給付の67%と合わせて80%に。社会保険料の免除と非課税を考えると、手取りでほぼ10割に近づきます。
- 対象期間内に通算14日以上の育休を取ることが条件です。
- もう一方も14日以上取ることが原則ですが、出産した本人が産後休業中であれば、パートナー側はこの条件を満たします。ひとり親の場合や、相手が自営業・フリーランス・無職の場合も条件は不要です。
さらに、2歳未満のこどもを育てるために時短勤務をして給料が下がった場合は、育児時短就業給付金(下がった後の賃金の10%)も2025年4月から始まっています。
④ 生まれてからずっと:児童手当
2024年10月から大きく拡充されました。所得制限は撤廃され、対象は高校生年代(18歳到達後の最初の3月31日)までに延びています。
- 3歳未満……月15,000円
- 3歳〜高校生年代……月10,000円
- 第3子以降……年齢にかかわらず月30,000円
- 支給は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の年6回、2か月分ずつ。
初めての子の場合は、出生届とは別に市区町村への申請(認定請求)が必要です。申請が遅れた月分はさかのぼってもらえないので、出生届と同じ日に窓口で済ませるのがおすすめです。
⑤ 東京都にお住まいの方への上乗せ
018サポート(月5,000円)
東京都の独自制度で、0歳から18歳になる年度末までのこども1人につき月5,000円(年間最大6万円)。2026年度も続いています。すでに申請・受給している場合は、原則として改めての申請は不要です。新しく生まれた赤ちゃんの分は申請が必要なので、018サポート公式サイトで期限を確認してください。
赤ちゃんファースト(10万円相当+3万円分)
こども1人あたり10万円相当の育児用品や子育て支援サービスを、カタログから選べる東京都の事業です。2026年度に生まれたこどもも対象。さらに2026年1月1日以降に生まれた場合は「赤ちゃんファースト+」として3万円分が上乗せされ、合計13万円相当になります。申請期限があるので、産後に落ち着いたら早めに登録を。
区の事業(とうきょうママパパ応援事業など)
育児パッケージ(1万円分)や、1歳・2歳の誕生日ごろに届く家事・育児支援のパッケージ(バースデーサポート)など、区によって内容が異なる支援もあります。お住まいの区の子育て担当の窓口でご確認ください。
東京都の各区には、宿泊やデイケアで体を休められる産後ケア事業があり、本来1泊5万円前後の施設を数千円〜1万円台で利用できます。区ごとの自己負担額と利用できる日数は産後ケア補助金一覧にまとめています。
⑥ 申請すれば戻ってくるお金
高額療養費(帝王切開・切迫早産などのとき)
正常分娩は健康保険の対象外ですが、帝王切開・吸引分娩・切迫早産の入院・重いつわり(妊娠悪阻)などは医療行為として保険が使えます(3割負担)。1か月の自己負担が上限を超えた分は、あとから戻ってきます。
上限額は収入によって異なり、たとえば標準報酬月額28万〜50万円の方で、1か月あたり約8万6千円+αが目安です(2026年8月に見直された金額。年度によって変わります)。マイナ保険証を使うか、事前に「限度額適用認定証」をもらっておけば、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。入院が決まったら、まず健康保険に連絡してください。
医療費控除(確定申告)
1年間に支払った医療費が一定額を超えると、確定申告で税金が戻ります。妊娠・出産では次のものが対象になります。
- 対象……妊娠がわかってからの妊婦健診・検査費用、通院の交通費、出産の入院費、入院中の病院の食事代、電車やバスが難しいときに使ったタクシー代。
- 対象外……里帰り出産のための帰省の交通費、パジャマや洗面具などの身の回り品、出前や外食の食事代。
- 注意……出産育児一時金は医療費から差し引いて計算します。一方、出産手当金は差し引かなくて大丈夫です。
領収書は捨てずに1年分まとめておきましょう。産後に「あのとき取っておけば」となりがちな部分です。
やることリスト(時期別)
- 妊娠がわかったら……母子手帳を受け取る/妊婦のための支援給付(1回目5万円)を申請/勤務先に産休・育休の予定を伝える
- 出産予定日の8週間前から……妊婦のための支援給付(2回目5万円)を届出/入院が決まったら限度額適用認定証(またはマイナ保険証)の確認
- 出産したら(14日以内が目安)……出生届と同時に児童手当の申請/健康保険の加入手続き/東京都の018サポート・赤ちゃんファーストの登録
- 産休が明けるころ……出産手当金の申請(勤務先経由)/育児休業給付金の手続き(勤務先経由)
- 翌年の2〜3月……医療費控除の確定申告
出生届も児童手当も、出産した本人でなくても提出できます。産後の体で役所に並ぶのは大変なので、「窓口に行く係」はパートナーや家族が担当すると決めておくと安心です。会社への連絡や書類の記入も、出産前にふたりで一度目を通しておくとスムーズです。
まとめ
産前産後にもらえるお金は、妊婦のための支援給付10万円 → 出産育児一時金50万円 → (働いている人は)出産手当金・育児休業給付金 → 児童手当が基本の流れ。東京都にお住まいなら、018サポートと赤ちゃんファーストが上乗せされます。そしてほとんどが申請制です。
全部を完璧に覚える必要はありません。「出生届のときに児童手当」「入院前に限度額」「領収書は取っておく」——この3つだけでも押さえておけば、受け取り損ねは大きく減ります。お金の不安が少し軽くなったら、そのぶん自分の体を休めることに使ってくださいね。