
産後の食事は宅配に頼っていい。選び方と始めどき
授乳して、おむつを替えて、寝かしつけて——気づけば夕方なのに、自分はまだ何も食べていない。産後の毎日は、そんな日の連続です。「ちゃんとご飯を作らなきゃ」と思うほど苦しくなるなら、食事づくりは思いきって外に頼っていい時期です。この記事では、宅配食の種類と選び方、始めるタイミングを整理してお伝えします。
・産後の体は回復と授乳でエネルギーを多く使う一方、料理の時間はほとんど取れない
・宅配食は冷凍弁当/ミールキット/生協・ネットスーパー/作り置き代行の4タイプ
・産後すぐは「レンジで温めるだけ」が最優先。調理が必要なものは余裕が出てから
・妊娠後期のうちに1回お試ししておくと、産後にあわてずに済む
なぜ産後は「作らない」がちょうどいいの?
出産後の体は、ケガのあとのように回復の途中にあります。そこへ昼夜を問わない授乳やお世話が重なり、まとまって眠ることもままなりません。一方で、授乳中はふだんより多めのエネルギーやたんぱく質が必要とされています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)。
つまり産後は、「しっかり食べたほうがいいのに、作る余裕がいちばん無い」時期。菓子パンやおにぎりだけで済ませる日が続くと、疲れが抜けにくくなったり、貧血や抜け毛が気になったりすることも。宅配食は手抜きではなく、回復のための段取りと考えてみてください。
宅配食の4つのタイプ
① 冷凍弁当(おかずセット)
主菜と副菜がワンプレートになった冷凍のお弁当を、まとめて届けてもらうタイプ。レンジで数分温めるだけで、洗い物もほぼありません。
- 向いている時期……産後すぐ〜数か月。いちばん余裕がないとき。
- よいところ……片手でも準備できる。栄養バランスや塩分に配慮したメニューが多い。好きなときに食べられる。
- 気をつけたいこと……冷凍庫の空きが必要。1食あたりの価格は自炊より高め。量が物足りない場合はご飯やみそ汁を足して。
② ミールキット
カット済みの食材と調味料がレシピつきで届き、10〜20分ほどで主菜と副菜が作れるタイプ。冷蔵で届くものが多いです。
- 向いている時期……産後2〜3か月以降、少し料理ができそうになってきたころ。パートナーや家族が作る担当になる場合にも。
- よいところ……献立を考えなくていい。できたての温かいご飯を家族で食べられる。料理に慣れていない人でもレシピどおりに作れる。
- 気をつけたいこと……包丁やフライパンは使うので、赤ちゃんから目を離す時間ができる。消費期限が短めなので、受け取り日を調整して。
③ 生協・ネットスーパー
食材や日用品を、決まった曜日や指定の時間に玄関まで届けてもらうタイプ。冷凍のおかずや離乳食向けの食材を扱っているところもあります。
- 向いている時期……妊娠中から産後、その先の離乳食期まで長く。
- よいところ……おむつやお水など重いもの・かさばるものもまとめて頼める。スーパーに行く回数が減る。
- 気をつけたいこと……基本は「食材」なので、調理の手間は残る。冷凍おかずと組み合わせるとラク。
④ 作り置き代行(家事代行の料理メニュー)
調理スタッフが自宅に来て、冷蔵庫の食材で数日分のおかずをまとめて作ってくれるサービス。
- 向いている時期……上の子がいて家族の食事量が多いとき、アレルギーや好みに細かく合わせたいとき。
- よいところ……家庭の味つけやリクエストに合わせてもらえる。できたてを冷蔵保存できる。
- 気をつけたいこと……1回あたりの費用は高め。人が家に入ることに抵抗がないかも考えて。
産後に選ぶときの5つのチェックポイント
- 準備の手間……産後1〜2か月は「温めるだけ」を最優先に。
- 栄養……主菜にたんぱく質(肉・魚・卵・大豆)がしっかり入っているか。鉄分やカルシウムに配慮したメニューがあると安心。
- 冷凍庫・冷蔵庫の容量……冷凍弁当は1食ぶんが意外とかさばります。最初は少なめの食数で。
- 受け取り方法……置き配ができるか、時間指定ができるか。授乳や寝かしつけの最中にインターホンが鳴るのは、けっこうつらいものです。
- やめやすさ……定期便はスキップ・解約の手続きがかんたんかを申し込み前に確認。「お試しだけ」ができるサービスから始めると気がラクです。
始めるなら、妊娠後期のうちに
産後に新しいサービスを比べて、会員登録して、支払い方法を入力して……というのは、思っている以上に大仕事です。できれば妊娠30週を過ぎたころに、気になるサービスを1〜2つお試ししておきましょう。味の好みや冷凍庫に入る量がわかり、産後は「いつもの注文」をするだけになります。
妊娠中に宅配食を利用するときは、生ハムやナチュラルチーズなど、妊娠中に控えたほうがよいとされる食品が入っていないかも確認を。産後の準備全体は産前に準備しておきたいこと10も参考にしてください。
在庫を見て注文する・受け取る・冷凍庫を整理する、といった段取りは、パートナーや家族も担当できる家事です。出産前に「食事まわりはこの人の担当」と決めておくと、産後に言い出しにくい…ということが減ります。
費用のめやすと、ムリなく続けるコツ
冷凍弁当やミールキットは、サービスや食数によって違いますが、1食あたり数百円〜1,000円前後が目安です(送料が別にかかる場合もあります)。毎食を宅配にするとまとまった金額になるので、次のような「組み合わせ」がおすすめです。
- 「1日1食だけ宅配」……いちばん余裕のない昼か夜だけ冷凍弁当に。
- 「主菜だけ宅配」……ご飯はまとめて炊いて冷凍、みそ汁はインスタントでOK。
- 「つらい時期だけ」……産後1〜3か月だけ集中して使い、落ち着いたら頻度を下げる。
自治体によっては、出産・子育て応援の給付やギフト、産後の家事支援事業などで、食事まわりや家事支援のサービスを選べる場合もあります。内容は年度や区によって変わるので、お住まいの区の案内を確認してみてください。
編集部が選ぶ、探し方の目安
ここでご紹介するのは、あくまで探すときの入り口です。まずはお試しセットや少ない食数から始めて、合うものを見つけてください。
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こんなときは相談を
・食欲がまったく出ない状態が続く、何を食べてもおいしく感じない
・立ちくらみ、息切れ、動悸など貧血が疑われる症状がある
・体重が急に大きく減った、または増えた
・気分の落ち込みや不安が強く、眠れない日が続く(「産後うつかも?」と感じたらもあわせてご覧ください)
食物アレルギーや持病で食事制限がある場合は、宅配食を選ぶ前に医師や管理栄養士に確認すると安心です。
まとめ
産後は、体を回復させながら赤ちゃんのお世話をする、人生でもとくに忙しい時期。食事を「作る」から「届けてもらう」に切り替えるのは、自分と家族を大切にするための、れっきとした選択です。産後すぐは冷凍弁当、少し落ち着いたらミールキット、ふだんの買い物は生協やネットスーパー——と、時期に合わせて組み合わせてみてください。
それでも疲れが抜けないときは、体ごと休める場所もあります。東京都の各区には産後ケア事業の補助金があり、食事つきで休める産後ケア施設を数千円から利用できます。温かいご飯を、誰かに用意してもらう日をつくってくださいね。